文化・芸術

「獺祭」

「獺祭(だっさい)」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。

日本酒の「獺祭」を思い浮かべる人も多いと思いますが、今日は「獺祭忌」のほうの「獺祭」の話。

「獺祭忌」とは、正岡子規の命日9月19日のこと。正岡子規が自分の居を「獺祭書屋」と呼んでいたことにちなみます。

んで、その「獺祭」とは何か。辞書を調べると、「文章を作るときに、自分のまわりに資料となる書物をいっぱい広げている様子」とある。晩唐の李商隠という詩人が、そのようにして詩作や文章を書いていたのだそうです。

ところで、この「『獺』って何?」ですよね。

「獺」とは「カワウソ」のこと。カワウソは、自分が採ってきた魚を自分のまわりに並べる性質がある。李商隠は、自分が周りに書物を広げている様子が、まるでカワウソが魚を自分の周りに並べている様子のように見えることから、自ら「獺祭魚」と称したのだそうです。

我が家も、この連休は、2人そろって原稿書き。まさに獺祭状態でした。^^;

さて、正岡子規の話をもう一つ。

ドナルド・キーンさんが、9月に新潮社から『正岡子規』という本を出版されました。新潮社のPR誌「波」2012年9月号に、俳人の黒田杏子さんが紹介文を寄せています。

「感動した部分」という中に、「画家中村不折との出合いと友情が俳句の歴史を変えることとなった」という一節が。

この中村不折さん、あまり知られていないと思いますが、少なからず縁があって、ひいじいちゃんのいとこ。

書家・画家だった人で、「新宿中村屋」のロゴは不折によるものです。

そのほか、長野のお酒「真澄」のロゴも確か、不折さんの作だったと思う。

台東区に「書道博物館」というのがあって、そこに作品や収集した作品が展示されています。秋も深まってきたし、久々に行ってみようかな。

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墨汁一滴と中村不折に思う不思議な縁

なんやらかんやらで、あっという間にまた1週間。もう1月も半ばですよ。

正岡子規『墨汁一滴』を読み進めるうちに、中村不折の名を発見。

不折さんは、明治から昭和初期にかけて活躍した洋画家であり、書家であり、という人。新宿中村屋のロゴの字や、信州一味噌の字などは不折によるものです。

この不折さん、実は遠~い親戚。ひいじいちゃんに小坂芝田(しでん、と読みます)さんという日本画家がいるのですが、不折さんは、この芝田さんといとこ同士なんです。信州は伊那の出身。

不折さんについての記述は、『墨汁一滴』の最後のほうにあるのですが、子規が初めて会ったときの様子を、こう記しています。

「目つぶらにして顔おそろしく服装は普通の書生の著(き)たるよりも遥かにきたなき者を著たり。」(6月25日)

その後、数日にわたって、不折との思い出が語られているのですが、「服が汚い」って何度も書かれてる(よっぽど汚かったんだねえ)。

探したらこんなお顔をされていたみたい。→コチラ(ここでも「身なりなど全く構わない」って、書かれてるよ。どんだけ構わなかったんだか~coldsweats01

不折さんは、子規が副編集長を務める新聞に挿絵を描く画家として最初出会ったらしい。筆力については、

「不折君に向つての注文は大主意だに説明し置けば些末の事は言はずとも痒き処に手の届くやうにできるなり。」(6月25日)

と誉められてます。なんか嬉しい。

『墨汁一滴』を手に取ったときは、不折さんについて、こんなに書かれているとは、つゆ知らず(知っとけよ、だな)。なんだか、不思議な縁(えにし)を感じます。

不折さんの元自宅は、今「書道博物館」という美術館になっていて、台東区にあります。今、ちょうど子規との交流を示す展示会が開かれているということ。

行かなくちゃ。

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歩キ眼デスさんのブログ

いつもコメントをくださるアルキメデスさん。

ある仕事を介して出会い、その後、いろんなお仕事を一緒にさせていただいているアートディレクターさんです。

そのアルキメデスさんのブログがコチラ

20年来、ずっとウォーキングをされていて、その道々で出会ったシーンを切り取ったきれいな写真に、ほっと心が和む、楽しい文章が添えられています。

私も最近、散歩の途中(ネット内ですが……)で、必ず立ち寄ってしまう素敵な場所です。

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5人目の雷神さま?

Photo昨日は話題の大琳派展へ。実は、友人が招待券を入手してくれて誘ってくれたのです。

金曜日の午後、しかも、ものすごい雨が降っていたにもかかわらず、結構な人出でびっくり。

琳派の代表作といえば「風神雷神」。左の看板にも描かれているものです。

今回は、俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一、鈴木其一の描いた4つの「風神雷神図」が一堂に会す、ということで話題になっています。

「風神雷神図」は、琳派の画家によって描き継がれてきた需要なテーマの一つだということ。恥ずかしながら、私は宗達のものしか知らなくて、4つも存在するというのを今回初めて知りました。

この日は、光琳と抱一のものが並べて展示してあり、ちょっと離れて其一のものも展示。こう並べてみると微妙に違うものだなあ。私は其一のが好き。宗達のものは、10月28日から展示されるようです。

チラシの裏に、4つの雷神図が並べられていました。

Photo_6  Photo_7 Photo_8  

左から宗達、光琳、抱一、其一……あれ? もう一つ、あるじゃん?

5つ目の「雷神」は、群馬県出身の方ならピンときたことでしょう。「上毛かるた」の「ら」の絵札です。

上毛かるた」は、群馬県内の名所や名産をテーマにした郷土かるた。雷の多い群馬、「ら」は「雷(らい)と空風(からっかぜ)、義理人情」という文言の札です。7・5調で、とても語呂がいいので、子どもでもすぐ覚えられる。

おそらく群馬出身の人にとって、この「ら」の札の「雷神」さまは目に焼きついているんじゃないでしょうか。私も雷神との初めての出会いは「ら」の札でした。

改めてみると、結構、ユーモラスな顔してます。昔はこの絵、怖かったんだけどな~。

4人の雷神のうち、どれをモデルとして描いているかは、ちと、わかりませぬ。

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ギロッポンでハシゴ

ギロッポンでハシゴ、といっても、飲み歩いていたわけではありません。

先日、偶然、文字について調べていたら、浅葉克己氏というアートディレクターがディレクションしたという「『祈りの痕跡。』展」という展覧会が開かれている、という記事に出会いました。

世界各国で使われている、あるいは使われてきた文字をテーマにした展覧会だということ。結構、文字オタな私。23日までと知って、早速でかけました。

2121場所は、六本木ミッドタウンの一角にある「21-21デザインサイト」というところ。

うーっむ、見るからにスタイリッシュな建物です。あまりにもスタイリッシュすぎて、最初入り口がわかりませんでした・・・。catface

ようやく、入り口を見つけて、会場に入ると、アジアで使用されている22種類の文字を紹介するパネルや、それらの国の新聞などが展示されていました。

その国の人は、小さいときからその文字で読み書きしているのだろうから、なんていうことなく読めるのでしょうけれど、ぱっと見ただけでは、文字同士が似ていて、どうやって判読しているんだろう、と思う文字もありました。

日本の文字も、漢字、ひらがな、カタカナが混じってて、ほかの言語の人からみたら、「よくこんなの、読めるな」と思われるかもしれないので、お互いさまだとは思いますが・・・。

Photoそのあと、『中上級のにほんご』を一緒に作成している浅野さんから、サントリー美術館で開催されている「小袖」展のチケットをいただいたので、ハシゴ。

こちらは、またぜんぜん違った内容。江戸時代、女性の服飾の中心だった着物「小袖」を一堂に集めた展示。
いや~、きれいでした。

でも、単にきれいというだけではありません。描かれているものをよく見ると、実は源氏物語や和歌をテーマにしていたり、取り合わせによって見立て遊びをしていたりなど、とにかく奥が深い。単なる「きれいな模様」ではなく、そういうところに凝ってみるのが、当時の女性の「おしゃれ」だったのでしょう。なんとも「粋」だなあ。

訪れている人も、わりと年配のご婦人層が多く、しかも和服率高! そのお召しになっているお着物も素敵な方が多かった。

ギロッポンで美術館のハシゴ。なかなかゆったりした気分を味わいました。

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浅野さんの漆展、行ってきました

Photo一緒に『中上級のにほんご』を作っている浅野陽子さんは、漆芸・蒔絵作家でもあります。

その浅野さんと、藍染物作家の陶守マリさんが、今週の月曜から銀座のギャラリーで開いている「真夏の工芸展」に、お邪魔してきました。

浅野さんは、編集・ライターの仕事でも、かなり忙しいハズなのに、いつの間に、こんなにたくさんの作品を作られたんでしょう!?

器やお箸などの実用的なものから、ペンダントやブレスレットなど、アクセサリーもたくさん。

また、最近は蒔絵で絵も描かれているということ。それも素敵でした~。

Photo_2いい色のブレスレットがあって、一目見て気に入ってしまい、購入。赤い色がなんとも上品。そこに金でアクセントの模様が入っています。

オールシーズン、いろんな服装に合わせて付けられそうです。

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エミリー・ウングワレー展

Photoオーストラリアの先住民・アボリジニが生んだ天才画家、エミリー・ウングワレーの絵画展に行ってきました。

新国立美術館で5月末から7月28日まで開催されているこの展覧会。一緒に『中上級のにほんご』の作成をしている浅野さんのブログで知りました。

エミリーは、もうすぐ80歳になろうというときに初めて、キャンバスに絵を描きはじめ、亡くなるまでの約8年間に3000点以上の作品を残しました。亡くなる2週間前まで、絵を描いていたということ。筆使いにすごく力があって、とても80歳をこえた女性の絵とは思えません。

浅野さんのブログの写真にもありますが、ヤムイモを描いた大作「ビッグ・ヤム・ドリーミング」は、とにかく、その大きさに圧倒されます。こんな大作をエミリーは、たった2日で仕上げたということ。

一見、さささっと描いたように見える作品ですが、とんでもない。この絵を描いているエミリーの様子を撮影したビデオが上映されていたのですが、エミリーは、1本1本の線を丁寧に描いていました。1回筆を走らせるだけでなく、2度ちゃんと筆をのせている。いとおしそうに線を描くエミリーの様子は、絵を描くのが楽しくて仕方ない、という感じ。

テーマとなっているのは、アボリジニ独特の世界観である「ドリーミング」、そして、生まれ故郷アルハルクラの風景。とにかく色彩がきれいでした。

Photo_2私もかつて、オーストラリアで日本語を教える真似事をしていた時期があって、そのときにアボリジニ芸術にとても興味をひかれました。

アボリジニの聖地であるエアーズロックを訪ねたとき、彼らがつくった首飾りが売られていました。

この色合いも、よくよく見るととてもきれいです。しばらく、しまったままにしていましたが、また、この夏は、使ってみようかな。

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世界の文字で遊ぼう

「世界の文字で遊ぼう」という、面白いHPを見つけた。

http://www.geocities.jp/p451640/moji/skm/skm_00.html

ハングル、モンゴル、タイ、ヘブライなど、世界各国で使われている文字について、どういう仕組みで成り立っている文字体系なのか、という説明がついていて面白い。また、自分の名前など、ひらがなで入力すると、その文字に変換してくれるというページもあって、楽しめる。

日本語は縦書きで上から書く、あるいは横書きの場合は左から右へ、というのが基本だけど、言語によっては、縦書きで上から書くのが基本だが、行の並べ方は左から右(モンゴル文字)、とか、横書きで右から左へ書くと決まっている(ヘブライ文字、アラビア文字)など、さまざま。

中には、横書きのときは左から右へ、右から左への両方があり、しかも縦書きもあって、その場合は下から上へ書く(ヒエログリフ=古代エジプトの文字)といったものもある(ルール、ないじゃん)。文字自体は、ピクトグラムっぽい感じで、味わいがある。

そういえば、5、6年前に一時、トンパ文字なんていうのもはやったことがあったな。これもどうちらかというとピクトグラムっぽい感じで、可愛かった。

可愛いといえば、純粋に形だけを見てみると、タイ文字やビルマ文字は、なんだか丸っこくて可愛いらしい。ルールはなかなか複雑そうだ。

何かの形を写し取って簡略化して示す(つまり文字にする)とか、次の世代に何かを伝えていくために何かの形で記述しておきたい、という欲求は、古くから綿々と続いてきたんだろう。

25世紀ぐらいには、日本のひらがなやカタカナ、漢字も、きっと変わってるんだろうな。

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活版印刷と約物コースター

荻窪に「アトリエ・ハコ」という、古い民家を改装した小さなギャラリーがあります。

ここの2階では、フランス語の教室が開かれていたり、日本語教師なら教授法の勉強をしたときに必ず1度は聞いたことがある「サイレント・ウェイ」のレッスンもしている、ということで、前から気になっていた場所でした。

ギャラリーは1階。そこで、この週末、「活版と製本展」という作品展が開かれていました。

実は数日前、若頭が帰りがけに、このギャラリーの前を通りかかり、持ち帰ってきた案内ハガキがとっても可愛かったのです。

080321212107印刷業界では、写真植字やDTPの発達で、今はほとんどなくなってしまった活版印刷という方法。それをあえて使ってデザインをしたり、本や名刺などの作品づくりをしている、「LUFTKATZE(空の猫)」という方たちの作品展。

若頭も私も、仕事柄、活字には興味津々。特に若頭の実家は昔、活版印刷の工房を営んでいたこともあって、懐かしさを感じてでかけました。

いろいろと展示されている作品の中で、私が目を引かれたのは「約物コースター」なるもの(はがきの下に写っているものです)。

約物」って、なんだかご存知でしょうか。編集関係の仕事をしている方はご存知だと思いますが、「約物」とは、文字や数字以外の活字のこと。つまり「。」や「、」や「( )」などの記号や、「♪」「〒」などのマークの総称です。

080321211952この「約物」だけを使って和紙に印刷したコースター、というわけです。マニアックでいいよなあ。今はあまり使われなくなった郵便マークや何に使われるのかわからないマークも。接写したのが左の写真です。ちょっと暗いかな(実はデジカメが壊れてしまった・・・。ケータイではやはり、きれいに撮れない・・・sad)。

本にしても名刺にしても、活版で印刷したものは、活字の部分が微妙にへこんでいて、手で触るとわかる。活版印刷の活字って、やはり味わいがあるものですね。

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北窓開く

フリーランスになりたてのころ、一時、俳句を趣味にしていた時期があった。仕事のほうが忙しくなって、最近はすっかり離れてしまったのだが、そのときに買った歳時記をたまに見ることがある。

春の季語で、とても好きなものがある。

「北窓開く」。

冬の間、閉め切っていた北側の窓。春が近づいて、だんだんと暖かくなってきたので、それを開ける、という意味だ。

今日は、そんな暖かさを感じる日だった。北の窓を開けると、まだ寒いことは寒いのだけれど、冬の間、部屋にこもっていた寒さが外に抜けていくように感じる。

今日の一句。

  北の窓 開けっ放して 抹茶ラテ

寒いのは本当に苦手。早く一気に暖かくなれ。  

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